コッコロ:
「こちらです、主様。
お足元に気をつけてください、手を引きましょうか?」
「はい。どうぞ、ご遠慮なく。
お導きいたしましょう、「ガイド役」として。」
「ふふ。ランドソルは、入り組んだ町ですよね。
うっかり、迷子になってしまいそうです。
この人混みにも、全然なれません…」
「わっとと、すみません主さま。
よりかかってしまいましたね。
通行人にぶつかって、転びそうでした。」
「助かりました、主さま。
気を引き締めます。」
「すみません。
きょろきょろ余所見をしながら、歩いてはいけませんね。
けれど何もかも物珍しくて、興味深いのですよ。」
選択
a. あもっと気を抜いていいよ。
b. 歩きにくそうだし、おんぶする?
a.
「いいえ。
主さまをお導きするのが、わたくしの使命でございますから。」
「物見遊山をしているわけではないのです。
常に周囲を警戒しつつ、お供いたします。」
「ふふ。
わたくしを気遣ってくださるなんて、主さまはお優しいかた。」
「ともあれ。
予定どおり、生活用品などを買いそろえてまいりましょう。」
「ランドソルは、物価が高いですし。
少々、手持ちの残金が心許ないのですか…
主さまが欲しいと思ったものは、何でも買い与えてさしあげたい。」
「ふむ。
主さまは記憶を失っており、何もわからないのでしたね。
ますは、貨幣という物の概念がらご説明すべきでしょうか。」
「これが、お金です。
これと引き替えにして、お店などで商品を得たりできます。
硬貨と紙幣がありまして、…主さま?」
「あぁ、主さま。
紙幣を口にくわえてはいけません、それは食べ物ではないので。」
「ぺッしてください。
主さまは、ときおり赤ちゃんのようですね。」
「紙幣など、たくさんの人々の手に触れるものですから…
不衛生ですよ、口に入れてはなりません。」
「少々、お待ちください。
んっ…もぐ、もぐ。」
「薬草を、わたくしの口で噛み砕いて煎じました。
こちらて湿らせた脱脂綿で、口元をお拭きいたします。
消毒になりますので、......動かないでくださいまし。」
「ごし、ごし……
うん、綺麗になりました。」
「お金を口に入れてしまうなんて、さては空腹なのですね主さま。
お買い物の前に、食事にいたしましょうか。」
「ふ~む……わたくしたちが宿泊しているホテルも近所ですし、
たしか厨房もありましたよね。
食材を買って、わたくしが料理しましょう。」
「自分でつくったほうが、お安く済みますし。
どうも、この町の飲食店は添加物が多くて。」
「主さまの健康が、心配です。
わたくしは、きちんと栄養計算などしたいです。」
「主さま、何が食べたいもののリクエストはごさいますか?
わたくし本などを読んで、料理も勉強中なのです。
きっと、ご満足いただけるように頑張ります。」
魚屋さん:
「奥さん奥さん、今日は魚が安いよ!
買っていかない?」
コッコロ:
「はい?えっと、わたくしですか?
お、奥さん…?」
「あの。
わたくしは、主さまの従者です。
決して、奥さんではございません。」
「えっと。
わたくし、主さまの奥さんに見えるのでしょうか。
主さまが、わたくしの旦那さま……